9月県議会 
 9月県議会は11日に開会され、28日に閉会しました。議会では、最初にアメリカでおきた同時多発テロに関する意見書が採択されました。補正予算案、工事請負契約などが提案され、すべて原案どおり可決されました。可決された補正予算では医大附属病院への脳卒中集中治療室設置、さきの台風11号被害にたいする災害復旧事業などが盛り込まれました。人権啓発集会運営補助金200万円(来年2月、白浜町で開く全国集会のため)、大滝ダムの負担金9900万円(度重なる基本計画変更のため)、県工事の市町村負担金、県立医大などの入学金引き上げ、談合の疑いがある県立医大解体撤去工事、県営西浜団地建築工事の契約などに反対しました。村岡キミ子団長が討論にたちました。日本共産党は、「リストラを規制し、雇用確保を求める意見書」、「患者負担の増大につながる医療保険制度の改革中止を求める意見書」のふたつの意見書を提案しましたが、賛成する会派がなく否決されました。
日本共産党議員の質問 質問の詳細はこちら
18日(火)ー村岡キミ子議員
     児童虐待に関わる諸問題
     医療、介護保険、国民健康保険が抱える諸問題の指摘及び制度改悪に反対     
19日(水)ー鶴田至弘議員
     米軍艦の和歌山港入港問題
     県財政の中期展望と来年度予算
     不況・雇用対策
20日(木)ー金田真議員
     古座川町七川ダムの操作規定の見直しを
     新宮市の産廃問題
     熊野川の汚濁、不法投棄対策
     市町村合併の押しつけ反対
21、25日ー予算委員会 高田由一議員
     工事入札での談合問題、七川ダムの操作規定見直しなど
26日ー常任委員会
27〜28日ー本会議
     


  日本共産党村岡キミ子県議は18日、医療・福祉制度、児童虐待に対応した県の相談センター、児童養護施設の体制について質問しました。
村岡議員は、厚生労働省が医療保険制度の改悪案をまとめたことに関連して、国へ中止の意見をあげること、県単独補助の福祉医療を守ることを求めました。
国が検討するとされている医療保険制度の内容は、高齢者医療の対象年齢の70歳から75歳への引き上げ、サラリーマンの本人負担の2割から3割への引き上げなどです。 村岡議員は、67歳から69歳までのお年寄り、3歳未満の乳幼児、重度の心身障害者、ひとり親家庭などにたいする県単独の福祉医療は後退させないという姿勢をしめすべきだと迫りました。県が8月に発表した「財政の中期展望」では、県単独の補助金は見直しを徹底的にすすめるとしていることにたいし、「見直し」のなかに、祉医療の補助金は含めるべきではないとただしました。 
 乳幼児医療の
拡充を要求
 村岡議員はさらに、乳幼児医療費の無料については拡充が全国的な流れだとのべ、国の制度化を県からも国へつよく働きかけること、県としても、現在の3歳未満から就学前までへ対象を広げることが必要だとのべました。
 白井保世・福祉保健部長は、医療制度については低所得者への配慮を国へつよく要望していると答弁。県の福祉医療については、福祉施策全体であり方について検討していくとのべました。

 村岡議員は、介護保険について、全日本民主医療機関連合会(民医連)が実施した調査(有効回答22202件の有効回答)にふれ、この調査で明らかになったことのひとつは、介護保険による自己負担の増加がサービスの利用を抑制し、生活全体を圧迫しているということだと指摘しました。

 この調査では、介護にかかる費用が制度実施前と比較して「増えた」と答えた人は74.5%ありました。増えた額の平均は、10100円でした。ほぼ5割の人が、「かなりの負担」、あるいは「やや負担」と答えています。
 村岡議員は、10月から保険料の満額徴収が始まるなかで、低所得者の保険料・利用料の負担軽減はいっそう切実だとのべ、減免の制度化を求めました。

 白井福祉保健部長は、県の減免制度は困難とのべました。
 
 児童虐待への
体制整備を
 児童虐待問題で村岡議員は、相談センターへの児童福祉司の配置基準や、児童養護施設における職員配置の基準見直しを国へ働きかけること、児童養護施設から要望のある看護婦配置を国へ要請することなどを求めました。
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 日本共産党鶴田至弘県議は19日、財政、景気・雇用、米艦船入港、教育問題で質問しました。
 民間の調査機関によると県内の雇用情勢は、倒産は2000年は168件で過去20年間で最悪になりました。
今年は、8月までに95件で、昨年同期を約20%下回っていますが、負債総額は大型倒産があったため約589億円と昨年同期の約2倍になっています。
 鶴田議員は、消費税減税、大企業の横暴な解雇規制、労働時間の短縮など、国の景気・雇用対策の転換を国へ求めるとともに、不況下の企業、県民の実態をつかみ、対策をもつ部署を庁内で特別に立ち上げる必要があるのではないかとただしました。
 内田安生・商工労働部長は、全庁的な「景気・雇用対策本部」を設置しており、近くこの会議を開くとのべました。
 鶴田議員は、この会議が発足当初に一度開いたきりになっていることを指摘し積極的なとりくみを求めました。
  許せない米艦船の入港
 米艦船の入港について鶴田議員は、入港の目的は、乗員の休養、交流、ボランティアなどの表むきの理由とは別のところ、2年前に成立した「周辺事態法」の地ならしにあると考えられると指摘。米艦船の入港では、その港湾や地域の調査が重要視されてきたことに言及しました。
 非核証明書提出を要請するよう和歌山市長が求めたにもかかわらず、木村知事がこれを拒否したことをとりあげ、その理由をただしました。
 非核証明書の提出を入港の前提とすること、県下の港湾を軍事利用には供さないと宣言すべきではないかとただしました。
 木村良樹知事は、政府の立場では核兵器のもちこみはあり得ないとの認識を示しました。
  高校定員は全入を基本に
 教育問題について鶴田議員は、財政運営プログラムUによる教員削減計画を中止し、小学1年生、中学3年生から30人学級へふみだす考えはないかと教育長にただしました。
 高校定員問題で鶴田議員は、昨年度の入学試験において有田地方で不合格者が例年以上にでて、定員増の特別措置がとられたことなどにふれながら、ことしも同様の事態が懸念されている有田地方など、全員入学の立場で必要な定員を確保することを求めました。
 小関洋治教育長は、児童・生徒の減少が見込まれるため教職員定数の減少は避けられないとのべました。
 高校の募集定員については慎重に検討すると答えました。
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 日本共産党の金田真議20日、熊野川の汚濁対策、七川ダムの操作、市町村合併、新宮市内の産業廃棄物問題で質問しました。
 金田議員は、熊野川の汚濁とダムの関係について問題提起し、汚濁解決への第一歩として、二津野ダムの撤去あるいは発電停止を電源開発へ求めるべきだとのべました。
 木村知事は、近く県幹部を電源開発へ派遣して、地元の意向として伝えたいと答弁しました。
 金田議員が指摘したのは、熊野川にダムがつくられた歴史的背景と、汚濁が長年の懸案となっている状況です。
 熊野川は昔から清流と豊かな水量でその名を知られてきた河川ですが、戦後の復興期に電力確保のためにつぎつぎとダムがつくられていったといいます。住民は、「建設中と二、三年は濁るが、やがて元に戻る」と説明されたといいます。
 1953年、建設省(当時)がつくった猿谷ダムから始まり、58年からは電源開発のダム建設が始まりました。78年に関西電力奥吉野発電所のダム建設が終わるまで、11のダムと9つの発電所がつくられました。

 金田議員は、この間、ダムによる自然環境破壊や水質汚濁、塩分遡上などは水道水の濁りなど市民生活はもとより、あゆなどの内水面漁業や沿岸漁業、観光、製紙などの産業に大きな影響を及ぼしたと指摘しました。
 78年には、国と関係機関による「新宮川水質汚濁対策連絡協議会」が発足しましたが、抜本的な解決には至っていません。
 金田議員は、電源開発自身、「ダムがある限り濁水は不可避だ。いかに軽減するかが課題」としていることを紹介し、濁りの原因を絶つ第一歩として、二津野ダムの撤去あるいは発電停止を求めるべきであり、現愛の電力事情からみても可能なはずだとのべました。
 金田議員は、台風11号が8月21日紀南地方を直撃し、床上・床下浸水や、田畑の冠水などの被害が古座川町ででたことに関連して、七川ダムの操作についてただしました。
 操作規定見直しの意見があったにもかかわらず1970年の規則策定以来、見直しがなされていない理由、今回の集中豪雨にたいする洪水調整計画の内容などをただし、操作規則見直しなどにあたっては地元住民の意見をふまえて対応すべきだと求めました。
 ダムの基本計画が想定していたよりも少ない流入量しかなかったにもかかわらず、最大放流量は倍近かったことを指摘し、事前放流や河川改修の重要性を強調しました。
 大山土木部長は、操作規則見直しは検討していくこと、河川改修計画については災害の実態をふまえて策定することを明らかにしましたが、規則が長年見直されてこなかったことには答えませんでした。
 市町村合併について金田議員は、「新自治体」の建設事業にたいして合併特例債を発行することが、合併バブルともいえる財政悪化をもたらすことなどをただしました。
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 日本共産党の高田由一県議は25日、県議会予算委員会で、県公共工事の談合問題をとりあげ、入札制度改善を要求しました。
  県土木部と農林水産部発注の工事(1998年度以降、5億円以上)で、予定価格にたいする契約金額の割合(落札率)が98%を超えるものが全34件中、約7割にのぼるという異常な高値になっていることがわかりました。それ以外でも、1件をのぞいて95%を超えています。(工事入札結果はこちら
 談合疑惑は、旧県立医大の解体撤去工事と県営西浜団地の建築工事で談合情報が寄せられましたが、予定どおり入札をおこない、情報どおりの企業が落札したもの。県は入札調査委員会を開きましたが、談合は確認できなかったと結論づけました。
 解体撤去工事の落札率は98.05%、団地建築のは91.96%でした。
 高田議員は、県工事入札の落札率が著しく高い実態を示して、談合防止の方策を求めました。
 高田議員の調べでは、2000年度の県土木部発注の工事(5億円以上)の落札率の平均は98.5%、西牟婁振興局発注の工事(1億円以上)の落札率の平均は98%という異常な高値でした。
 一方、同年度の和歌山市の工事(1億円以上)の落札率の平均は、79.3%でした。県海草振興局発注工事(1億円以上)では、63%のものが1件ありましたが、あとはすべて96%以上でした。
 高田議員は、談合情報があった際の対応マニュアルについて、入札参加者から事情聴取をするだけの対応を改善して、有効なものにすべきだと求めました。談合の疑いがあったときには契約しないという姿勢でのぞむべきだとのべました。
 入札にあたり、その参加企業名が事前公開されていることが、談合をしやすくしているとされている問題に言及。三重県久居市では公開をやめた前後では、落札率が平均97.8%から
75%前後になったこと、長野県や北海道でも事前公表をしていないことなどを紹介し、試行してみてはどうかと提案しました。
 また、国土交通省が設置している入札監視委員会などの第三者機関を設置すべきではないかとただしました。
 大山土木部長は、談合情報への対応については、内容の充実を図っていくとのべましたが、具体的にはのべませんでした。第三者機関は、法でうたわれているものであり、設置する方向で検討していくと答弁しました。
 高田議員は七川ダムと古座川の治水について、計画が絵にかいたモチになっているとのべました。
 計画では、流入量が最大1380トンにたいし、1060トンカットし、320トンしか流さないことになっています。
 しかし、97年の9号台風では流入量は最大973トンでしたが、放流は最大422トンありました。98年の7号台風では最大流入量九931トンにたいし、最大放流は606トンありました。計画の7割しか流入していないのに、放流は2倍近くあったということになります。
 高田議員は、これは、降雨を短時間の集中豪雨しか想定しておらず、すこし降雨時間が長いと計画の2倍もの放流をせざるを得ないということだとのべ、こうした実態をふまえて計画を見直すべきだとのべました。
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